はじめに:全部作り直すのはもったいない
1.「とりあえずフルリニューアル」という業界の常識を疑ってみる
日本のWeb業界には、長い間「当たり前」とされてきた不思議な習慣があります。それは、3年から5年経ったら、Webサイトを全部壊して作り直す(スクラップ&ビルド)という考え方です。
経営者の方や広報担当の皆さんは、「デザインが古くなった」「スマホで見にくい」「システムが使いにくい」「売上などの成果が伸びない」といった悩みが出てくると、制作会社から「それなら、全部新しく作り直しましょう!」と提案されることが多いのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってください。この「とりあえず全部作り直す」というやり方は、実は企業にとってものすごく大きな損害を生んでいるかもしれないのです。
検索エンジン(Google)からの長年の信頼や、担当者さんが一生懸命書いたブログ記事、お客さんが使い慣れたメニューの場所……これらは、時間が経てば経つほど価値が出る「資産」なんです。
それなのに、リニューアルのたびに、こうした目に見えない大切な資産まで壊してしまっていませんか?
多くの企業が高いお金と長い時間をかけてリニューアルしたのに、「アクセスが激減した」「問い合わせが来なくなった」「成果が伸びない」という失敗を経験しています。これは単なるプロジェクトの失敗ではなく、大切な会社の資産を捨ててしまっているのと同じことなのです。
2.日本の心「もったいない」をWebサイトにも
私たち日本人の心には、古くから「もったいない」という精神が根付いています。これは単にケチケチすることではなく、モノの価値を最後まで大切に使い切る、あるいは形を変えて活かし続けるという、とても素敵な知恵です。
今、この「もったいない」の精神こそ、Webサイトの運営に必要とされています。
デジタルの世界でいう「もったいない」とは、単に制作費を節約することではありません。次のような「見えない資産」を、知らず知らずのうちに捨ててしまうことへの問いかけなのです。
- 時間の蓄積(SEO資産)
Googleが長い時間をかけて「このサイトは信頼できる」と評価してくれた実績。これは一朝一夕には作れない、ネット上の「老舗の暖簾(のれん)」のようなものです。 - 知識の蓄積(コンテンツ資産)
歴代の担当者が書き溜めたブログや、お客様への回答集。これらは会社の知識そのものであり、お客様との大切な接点です。 - 体験の蓄積(UX資産)
お客さんが「ここをクリックすれば注文できる」と覚えている使い勝手。これをコロコロ変えるのは、お客さんを迷子にさせるようなものです。
3.「壊す」から「活かす」へ。リノベーションという新しい選択
この記事では、既存のサイトを「壊す」のではなく「活かす」ための方法をたっぷりとお伝えします。
特に、リヌーボデザインが提案する「4つのRe:」というWeb再生プロセスを使って、「もったいないサイト」を「しっかり働くサイト」へと生まれ変わらせる具体的な手順をご紹介します。
- Re:Think(再定義)
まずは「何のためにサイトがあるの?」を考え直し、手持ちの武器(資産)を確認します。 - Re:Design(再設計)
見た目の派手さよりも、「使いやすさ」や「伝わりやすさ」をデザインします。 - Re:Build(再構築)
全部作り直すのではなく、必要な部分だけを技術的に修復・強化します。 - Re:Value(再価値化)
眠っているコンテンツを磨き直し、利益を生む資産へと育てます。
これは単なるWeb制作の話ではありません。会社の財産であるWebサイトを、どうやって守り、育て、次の世代に繋いでいくかという、デジタル時代の「資産管理」のお話です。ぜひ最後までお付き合いください。
第1章:Webサイトにおける「資産」と「負債」の見分け方
Webサイトを再生させるためには、まず家の片付けと同じで、何が「残すべきお宝(資産)」で、何が「捨てるべきゴミ(負債)」なのかをしっかり見極める必要があります。
多くの失敗リニューアルでは、この仕分けをせずに、ゴミを大事に抱えて、お宝を捨ててしまっていることが多いんです。
1.「見えざる大黒柱」SEO資産:ドメインパワーとリンクの力
リニューアルで一番軽視されがちで、かつ失うと一番痛いのが「SEO資産」です。多くの経営者の方は、Webサイトを「デザイン」と「文章」だと思われていますが、Googleから見ると、一番大事なのはその裏にある「歴史」と「繋がり」なんです。
ドメインの歴史は「信頼」の証
Webサイトのアドレス(ドメイン)がどれくらい長く使われているか、そして他のサイトからどれくらい紹介(リンク)されているかは、Googleがサイトを評価する時の重要ポイントです。これは、どんなに優秀な技術者を雇っても、短期間で作ることはできません。
リニューアルの時に「心機一転、アドレスも変えよう!」なんて安易に変えてしまうと、積み上げてきた信頼がゼロになってしまいます。
特に「co.jp」のような信頼性の高いドメインで長く運営してきたサイトのパワーは、ライバルに対する強力な武器です。これを手放すのは、本当にもったいないことなんです。
リンク切れは「お店の消滅」と同じ
Webサイトは、インターネットという網の目の一部です。他のブログやニュースサイト、SNSからリンクを張ってもらっているというのは、あなたのサイトに「一票」が入っている状態です。
リニューアルでページのURL(住所)を変えてしまい、適切な転送設定(リダイレクト)をしないと、せっかくのリンクがすべて「ページが見つかりません(404エラー)」になってしまいます。
これは、お客さんが古い住所を頼りにお店に行ったら、更地になっていたようなもの。Googleからの評価が落ちるだけでなく、お客さんの信頼も失ってしまいます。
大学や公的機関、人気メディアサイトからのリンクなど、質の高いリンクを持っているサイトほど、そのダメージは深刻です。
2.知恵の結晶であるコンテンツ資産:小さな記事が大きな集客に
過去に書いたブログ記事や用語集、よくある質問などは、一つ一つは小さなアクセスでも、全部合わせるとサイト全体のアクセスの半分以上を稼いでいることがよくあります。これがいわゆる「ロングテールSEO」です。
でも、リニューアルの時に「デザインをスッキリさせたいから」「古い情報は恥ずかしいから」といって、これらの記事を削除してしまうことがよくあります。
これは小売店で例えるなら、派手ではないけれど毎日売れている定番商品を、店長が「おしゃれじゃないから」という理由で棚から撤去するようなものです。
コンテンツは、社員さんが時間と労力をかけて作った結晶です。情報が古いなら、捨てるのではなく「リライト(更新)」して最新にすればいいのです。
コンテンツを捨てるのは、過去の投資をドブに捨てるのと同じです。
3.「負債」とは何か?技術的なゴミと使いにくいデザイン
一方で、今のサイトには維持すべきではない「負債」も確かにあります。資産と間違えてこれを残してはいけません。ここを外科手術のように取り除くのが「リノベーション」です。
技術的負債とセキュリティの穴
長年継ぎ足しで作られた複雑なプログラム、サポートが切れた古いシステム、使っていないのに残っているプラグイン、サイズが大きすぎる画像などは、サイトを重くする「技術的負債」です。
これらはセキュリティの弱点になりやすく、サイバー攻撃のリスクを高めます。また、表示スピードが遅いと、せっかく来てくれたお客さんがイライラして帰ってしまいます。Googleからの評価も下がります。
でも、これを直すために「全部捨てて作り直す」必要はありません。プロが中身のコードを整理したり、画像を軽くしたりする「大掃除」をすれば、劇的に良くなることが多いです。
使いにくさの負債とデザインのバラつき
デザインの流行は変わりますが、「使いやすさ」の基本は変わりません。スマホで見にくい、文字が薄くて読めないといった問題は、明確な「負債」です。
また、ページによってナビゲーションやボタンの形が違ったり、見出しのルールがバラバラだったりすると、お客さんは混乱してしまいます。
ここで大事なのは、「見た目が古い」ことと「使いにくい」ことをごちゃ混ぜにしないことです。
単に見た目が古いだけなら、壁紙を張り替えるようにCSS(スタイルシート)を調整するだけで綺麗になります。家を壊す必要はないのです。
| 区分 | これは何? | リニューアル(リノベーション)でどうする? | どんな良いことがある? |
| 資産(守る!) | ドメインパワー | アドレスを変えずに、そのまま引き継ぐ。 | 検索順位が落ちない。 |
| 被リンク | 住所(URL)を変えない。変えるなら転送届を出す。 | 他サイトからの評価をキープできる。 | |
| 良い記事 | 消さずに、内容を最新にして活かす。 | お客さんが検索で見つけてくれる。 | |
| 使い勝手 | メニューの場所などを急激に変えない。 | リピーターのお客さんが迷わない。 | |
| 負債(捨てる!) | 技術的負債 | 複雑なコードを整理する。システムを更新する。 | サイトが安全になり、管理費も下がる。 |
| 重たいデータ | いらないファイルを消し、画像を軽くする。 | サイトがサクサク動くようになる。 | |
| 使いにくさ | スマホで見やすくする。入力フォームを簡単にする。 | お問い合わせが増える。 | |
| デジタルのゴミ | 使っていない機能や古いデータを削除する。 | 管理がしやすくなる。 |
第2章:なぜ「フルリニューアル」は失敗するの? 5つの落とし穴
リヌーボデザインでは、Webサイトリニューアルが失敗する原因を「5つの死因」として定義しています 。
ここではその概要だけをご紹介します。もし「これ、うちのことかも…」とドキッとした方は、ぜひ詳細記事を読んでみてください。
- 死因その1【戦略的心不全】
目的があやふやなまま、「なんとなく」でリニューアルを始めてしまうこと。「古くなったから」は動機であって、目的ではありません。 - 死因その2【視覚的肥満と機能的拒食症】
見た目の派手さ(おしゃれさ)ばかりを気にして、使いやすさや機能が犠牲になっている状態。 - 死因その3【循環器系不全】
リニューアルでSEO(検索順位)への配慮を忘れ、アクセスが激減してしまうこと。リダイレクト設定の不備などが原因です。 - 死因その4【代謝異常】
現場の体制に合わない高機能すぎるシステムを入れて、更新が止まってしまうこと。 - 死因その5【コミュニケーション窒息】
お客さんが知りたいことではなく、「御社の歴史」や「社長の挨拶」など、会社が言いたいことばかり発信している状態。
詳細な解説と、それぞれの解決策については、以下の記事で詳しくまとめています。
第3章:「4つのRe:」でサイトを再生させるプロの手法
失敗の原因がわかったところで、じゃあどうすればいいの?というお話です。
リヌーボデザインが提案する「4つのRe:」というプロセスを使えば、今ある資産を活かしながら、成果が出るサイトに変えることができます。
1.Re:Think(再定義):まずは現状を知り、ゴールを決め直す
いきなりサイトをいじり始めるのではなく、まずは「サイトの健康診断」をして、「何を目指すのか」をハッキリさせます。
プロの目とデータで診断する
今のサイトのどこが悪いのかを調べます。
- プロの視点
「サイトがちゃんと機能しているか」「ユーザーにちゃんと伝わるか」などの基準で、サイトの使い勝手がダメなところをチェックします。 - データ分析(アクセス解析)
GoogleアナリティクスやAhrefsなどを使って、サイトの状態を数字で見ます。 - ヒートマップ
お客さんがページのどこをよく読んでいるか、どこをクリックしているかを色で可視化します。「あ、ここ全然読まれてないな」というのが一目でわかります。
資産の棚卸しをする
今あるページを全部リストアップして、「残すもの」「直すもの」「統合するもの」に分けます。
- Keep(残す)
よく読まれている記事、検索順位が高いページ。 - Update(直す)
情報が古いけれど、アクセスはあるページ。 - Merge(統合する)
似たような内容のページや、情報が少なすぎるページは一つにまとめて濃いページにします(本当に価値のない重複ページはここで整理します)。
そして、お客さんが求めているのに足りていない情報(ギャップ)を見つけます。この「棚卸し」こそが、無駄な作り直しを防ぐ設計図になります。
2.Re:Design(再設計):使いやすさを最優先にデザインする
ここでは「見た目の美しさ」よりも、「使いやすさ」「わかりやすさ」という機能を重視してデザインを直します。
迷わせないための地図作り
お客さんが迷子にならないよう、メニューの構成を見直します。
- わかりやすい言葉を使う
専門用語や「Products」のような英語はやめて、「製品一覧」「お困りごとの解決」といった、パッと見てわかる言葉にします。 - パンくずリスト
「今どこにいるか」がわかるナビゲーションを全ページに整備します。これはGoogleのロボットにとっても親切な設計です。
ちょっとした言葉の変更で劇的改善
大規模な工事をしなくても、ボタンの言葉やリンクの言葉を変えるだけで効果が出ることがあります。
- 具体例
「送信する」という冷たいボタンを、「無料で資料をもらう」や「60秒で完了!今すぐ申し込む」に変えたり、「詳細」や「詳細はこちら」というリンクを「製品情報を見る」「事例を見る」などに変えたりするだけで、クリックしてくれる人が増えます。 - エラーメッセージを親切に
「エラーです」と突き放すのではなく、「メールアドレスの@が抜けていませんか?」のように、優しく教えてあげるようにします。
入力フォームを簡単にする
一番お客さんが逃げてしまうのが、お問い合わせフォームです。
- 項目を減らす
名前とメールアドレスとフリー入力欄だけでいいなら、それ以外は消しましょう。項目が減るだけで、問い合わせ率は上がります。 - 入力を助ける
郵便番号を入れたら住所が自動で出るとか、全角・半角を勝手に直してくれる機能を入れれば、お客さんのストレスは激減します。
3.Re:Build(再構築):技術のリノベーションで中身を強くする
「Re:Build(再構築)」は、ゼロから作り直すことではありません。家のリフォームのように、基礎や柱はそのままに、傷んだ壁紙や配管だけを新しくするイメージです。
中身のコードを大掃除する
見た目はそのままで、裏側のプログラム(HTML/CSS)だけを最新の書き方に直します。
- WordPressのテーマの置き換え
制作会社が作った「独自テーマ」を「Cocoon」や「Swell」などのSEOに強く、表示速度が速く、管理がしやすく、更新がしやすく、アップデートも頻繁なテーマに置き換えます。 - スパゲッティ状態の解消
長年継ぎ足して絡み合ったコードを綺麗に整理します。これで将来の修正が楽になりますし、表示崩れも防げます。 - スピードアップ
画像が表示されるタイミングを調整したり、最新の画像形式(WebPなど)に変えたりして、サイトの表示速度を速くします。
CMS(更新システム)の引っ越しや改修
古いWordPressやMovable Typeなど、セキュリティ的に危ない場合でも、記事データは貴重な資産です。
最近の技術を使えば、記事データだけを吸い上げて、新しいデザインに流し込むこともできます。これなら、過去の記事を全部活かしながら、最新のシステムに変えることができます。
また、いきなり全部変えるのが怖ければ、ブログの部分だけ先に新しくするといった、段階的なリフォームも可能です。
転送設定(リダイレクト)を完璧に
もしURLが変わるなら、旧住所から新住所への転送設定(301リダイレクト)を、ページ単位で丁寧に行います。
「全部トップページへ」という手抜きは厳禁です。一つ一つのページに対応する新しいページへ案内してあげること。これがサイトの命を守る大切な作業です。
4.Re:Value(再価値化):運用でさらに価値を高める
リノベーションが終わったら、そこからが本当のスタートです。再生したサイトをビジネスに徹底的に活用して、もっと価値のあるものに育てていきましょう。
コンテンツを再利用する
「もったいない」精神の真骨頂!一つのコンテンツを色々な形に変えて使い回します。
- ブログ → 資料
人気のブログ記事をまとめてPDFにし、「ホワイトペーパー」や「ダウンロード資料」として配ります。これで、見込み客の連絡先をゲットできます。 - ブログ → SNS
ブログ記事の要点を図解や短い文章にまとめ直し、InstagramやX(旧Twitter)などで発信します。これで、検索以外からのアクセスも増やせます。YouTubeなどへの展開も考えられます。 - 事例 → 営業資料
Webの事例インタビューを印刷して、営業さんが商談で使えるようにします。 - ウェビナー → 記事
開催したセミナーの内容を文字起こしして、ブログ記事にします。または記事の内容でウェビナーを開催します。
LTV(お客さんの生涯価値)を上げる
Webサイトは、最終的にどれだけ利益を出したかが大事です。
- ファンになってもらう
既存のお客さん向けに、製品の上手な使い方などのサポート情報を充実させれば、満足度が上がって長く使ってもらえます。 - 集客コストを下げる
広告に頼らず、検索(SEO)からお客さんが来るようになれば、一人のお客さんを獲得するコストが下がります。今あるコンテンツを活かすリノベーションは、広告よりも賢い投資になります。
育てながら完成させる
一度に完璧なサイトを目指すのはやめましょう。公開した後にお客さんの反応を見ながら、小さく改善を繰り返すのです。
「完成」ではなく「成長」を目指します。ヒートマップを見て読まれていない部分を直したり、バナーを変えてみたり。この地道な手入れこそが、サイトを「金食い虫」から「稼ぎ頭」に変える唯一の道です。
第4章:どっちがお得?「フルリニューアル」対「リノベーション」
経営的な判断として、「全部作り直す(フルリニューアル)」のと、「直して使う(リノベーション)」のと、どちらが良いのでしょうか? コスト、期間、リスクの面から比べてみましょう。
1.コストパフォーマンスと投資対効果
一般的に、フルリニューアルは全部捨ててゼロから作るので、お金も時間もかかります。一方、リノベーション(部分改修)は、悪いところだけ直すので、費用を抑えつつ効果を出しやすいです。
| 項目 | フルリニューアル (全部作り直し) | リノベーション (直して使う) |
| 初期費用 | 高い(数百万円) 全部作り直すのでお金がかかります。 | 中〜安い(フルリニューアルの25%〜40%程度) 予算に合わせて直す場所を選べます。 |
| 期間 | 長い(3ヶ月〜半年以上) 公開する頃には市場が変わっていることも。 | 短い(数週間〜2ヶ月程度) すぐに直して、すぐに効果を確認できます。 |
| 資産の継承 | リスクが高い SEOの評価がリセットされたり、コンテンツが消えたりする危険あり。 | 安全 ドメインやSEOの評価、記事資産を守りながら改善できます。 |
| 改善の進め方 | 一発勝負 公開するまで結果がわからず、修正もしにくい。 | 少しずつ 優先順位の高いところから直して、継続的に良くしていけます。 |
| 向いているケース | ブランドを全く新しくしたい時や、システムが古すぎてどうしようもない時。 | 売上を上げたい、成果を上げたい、予算が限られている時。 |
フルリニューアルではなくリノベーションを行い、浮いたお金をコンテンツ制作や広告などの「攻め」に使えるので、結果として投資対効果は非常に高くなります。
2.リスク管理:ギャンブルではなく、確実な成果を
フルリニューアルの最大のリスクは、「成果が出るかどうかがギャンブルになってしまう」ことです。 莫大な予算をかけてすべてを一新しても、それがユーザーに受け入れられるとは限りません。「使い方が変わってしまってわかりにくい」「前の方が良かった」といった不満が出て、かえって売上が落ちてしまうケースも少なくありません。
リノベーション(部分改修)であれば、このリスクを極限まで減らすことができます。 なぜなら、現状のサイトで「上手くいっていない部分」だけをピンポイントで直すからです。現状よりも悪くなることはあり得ません。マイナスの部分をゼロやプラスに戻す作業なので、ほぼ確実に成果(改善)が見込めます。
また、SEOの面でも安心です。 サイトの構造やURLを大きく変えることがないため、Googleからの評価がいったんリセットされて順位が急落する、といった「リニューアルあるある」の事故を防ぐことができます。 影響を最小限に抑えながら、着実に成果を積み上げることができるのが、リノベーションの最大の強みです。
おわりに:サイトリニューアルは「お祭り」から「日常」へ
1.「終わりのないプロジェクト」として育てていく
かつてWebサイトのリニューアルは、数年に一度、全社を挙げてやる「お祭り(一大イベント)」でした。でも、技術も市場もものすごいスピードで変わる今、数年間ほったらかして一気に作り直すなんてやり方は、もう通用しません。
これからのWebサイト運営に必要なのは、「常にリノベーションし続ける」ことです。
家を毎日掃除したり、最新の家電に買い替えたり、家族が増えたら部屋の使い方を変えるように、Webサイトも日々のメンテナンスと小さな改修を繰り返すことで、常に「現役」の状態をキープできます。
これを専門用語で「グロース・ドリブン・デザイン」や「アジャイル運用」なんて呼びますが、要は「資産を大切にして、手入れを怠らない」という、生活の知恵と同じことなんです。
2.「もったいないサイト」を再生して「働くサイト」に刷新
- 全部作り直すのはもったいない。
- 過去の担当者の努力(コンテンツ)を捨てるのはもったいない。
- 長年かけて集まったアクセス(SEO)を失うのはもったいない。
この「もったいない」の精神こそが、予算や人が限られている中小企業や、効率的に成長したい企業にとって、最強の戦略になります。
Re:Think → Re:Design → Re:Build → Re:Valueの4つの再生プロセスを通じて、あなたの会社のWebサイトは「お金ばかりかかる困った存在」から、利益を生み出し続ける「頼もしい資産」へと生まれ変わるはずです。
さあ、全部作り直す時代はもう終わりです。
今あるものを大切に使い、再利用・再定義する「Webリノベーション」の時代へ、一緒に進んでいきましょう。それが、ビジネスにとって一番賢い選択なのですから。


