ホームページリニューアルとSEO効果を下げる失敗

ホームページリニューアルとSEO Re:ブログ
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4つの再生プロセス:Re:Think → Re:Design → Re:Build → Re:Valueで、リニューアルに失敗した「もったいないサイト」を「働くサイト」に刷新します。

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  1. はじめに:デジタル資産の喪失――なぜリニューアルで「良くなった」はずのホームページが失敗するのか
  2. 第1章:SEO評価が消失するメカニズム――Googleは何を見ているのか?
    1. 1.「信頼の器」としてのURLとドメインパワー
    2. 2.リンクグラフの断絶とクローラーの迷走
    3. 3.アルゴリズムとのミスマッチ(検索意図のズレ)
  3. 第2章:致命的な失敗①「URL変更とリダイレクトの不備」
    1. 1.301リダイレクトの役割と不可欠性
    2. 2.多くの人がやらかすリダイレクトの失敗パターン
      1. パターンA:リダイレクトの完全欠如
      2. パターンB:「トップページへ」の一括転送
      3. パターンC:リダイレクトチェーンとループ
      4. パターンD:設定期間の誤認
  4. 第3章:致命的な失敗②「コンテンツの減少とデザイン優先の弊害」
    1. 1.「テキスト削除」=「キーワード削除」
    2. 2.画像化によるテキストの不可視化
    3. 3.コンテンツの統合によるテーマの希薄化
  5. 第4章:致命的な失敗③「UI/UXトレンドの副作用」
    1. 1.ハンバーガーメニューの落とし穴(パソコン表示)
    2. 2.無限スクロール(Infinite Scroll)の未対応
    3. 3.JavaScript依存のコンテンツ表示とCore Web Vitals
  6. 第5章:引き継ぎの失敗――開発者とマーケターの断絶
    1. 1.「noindex」の解除忘れ
    2. 2.タイトルタグ・メタディスクリプションの消失
    3. 3.XMLサイトマップの未更新
  7. 第6章:リニューアル後の「空白期間」――いつ順位は戻るのか?
    1. 1.反映までのタイムラグ:数週間から半年
    2. 2.一時的な順位低下(Googleダンス)
    3. 3.危険な兆候:インデックス数の減少
  8. 第7章:アクセス数・売上激減時の緊急対処マニュアル
    1. Step 1: 生存確認(最初の48時間以内)
    2. Step 2: リダイレクトの検証(1週間以内)
    3. Step 3: Google Search Consoleでの解析(2週間〜1ヶ月)
    4. Step 4: コンテンツの修復と強化(1ヶ月〜3ヶ月)
    5. 最後の手段:ロールバック(切り戻し)
  9. 第8章:失敗しないリニューアルのためのSEOチェックリスト
  10. 結論:SEOは「デザイン」の一部である

はじめに:デジタル資産の喪失――なぜリニューアルで「良くなった」はずのホームページが失敗するのか

企業がホームページのリニューアルを決断するとき、その背後には必ず「成長」への意志が存在します。「もっとアクセス数を増やしたい」「問い合わせ件数を倍増させたい」「ブランドイメージを一新して売上を伸ばしたい」。

経営層やマーケティング担当者は、刷新されたデザインと最新の機能を搭載した新しいホームページが、企業の未来を切り拓くことを疑いません。

しかし、リニューアルプロジェクトの完了と同時に、多くの企業が直面するのは、期待とは真逆の残酷な現実です。

リニューアルオープンから数週間後、Googleアナリティクスのグラフは右肩上がりに伸びるどころか、断崖絶壁を転がり落ちるように急落します。問い合わせのメール、注文通知メールは途絶え、検索順位はずるずると後退していく。

「デザインはこんなに美しく、使いやすくなったのに、なぜ?」

この問いに対する答えは、ホームページにおける「資産(アセット)」の捉え方の根本的な乖離にあります。

人間が視覚的に捉える「デザインとしての美しさ」と、検索エンジン(Google)が評価する「情報構造としての信頼」は、全く異なる評価軸で動いています。

長年運営されてきたホームページには、目には見えない莫大な「SEO資産」が蓄積されています。Googleからのドメインに対する信頼、ページごとの歴史的価値、外部のホームページから獲得した被リンクのネットワーク。これらは、適切な手順を踏まなければ、リニューアルの瞬間に「リセット」されてしまうのです。

本記事では、ホームページのリニューアルによってなぜSEO効果が下がるのか、そのメカニズムを検索エンジンのアルゴリズムという技術的側面から徹底的に解剖します。

そして、多くのプロジェクトで繰り返される「失敗のパターン」を明らかにし、失われたアクセスを取り戻すためのリカバリー策までを網羅的に解説します。

これは単なるチェックリストではなく、リニューアルという危機的状況から企業のデジタル資産を防衛し、再生させるための戦略書です。

第1章:SEO評価が消失するメカニズム――Googleは何を見ているのか?

ホームページのリニューアルによる検索順位下落の本質を理解するには、まずGoogleがどのようにホームページを評価し、順位付けを行っているかという根本原理を知る必要があります。

検索エンジンにとってのホームページは、色鮮やかな画像や洗練されたアニメーションの集合体ではありません。それは、URLを識別子とした「情報のネットワーク」であり、リンクによって繋がれた「信頼の連鎖」です。

1.「信頼の器」としてのURLとドメインパワー

長期間運用されたドメインやページには、Googleからの信頼スコア(いわゆるドメインパワーやページランク)が蓄積されています。これは一朝一夕に築けるものではありません。

質の高いコンテンツを継続的に発信し、外部のホームページからリンクを貼られ、ユーザーが滞在し続けることで、少しずつ積み上げられる「信用の履歴」です。

Googleの検索アルゴリズムにおいて、URLは単なる住所ではなく、そのページが持つ評価を格納する「器」の役割を果たしています。

ホームページのリニューアルにおいて、もしこのURLが変更されたり、ページそのものが削除されたりすると、その「器」は破壊されます。

新しいホームページでどれほど似たようなページを作ったとしても、Googleにとっては「信頼していた老舗店舗が無くなり、同じ場所に全く無名の新店舗ができた」ように映るのです。

特にドメインそのものを変更する場合、そのリスクは最大化します。ドメインエイジ(運用年数)による信頼加点はリセットされ、Googleは新しいドメインを「実績のない新人」として扱います。これにより、検索結果での露出は劇的に減少する可能性があります。

2.リンクグラフの断絶とクローラーの迷走

検索エンジンは「クローラー」と呼ばれるロボットを使い、ホームページ内のリンクを辿ってページを発見(クロール)し、データベースに登録(インデックス)します。このプロセスは、ホームページ内の「道」(リンク)に依存しています。

リニューアルによってホームページの構造が大きく変わると、クローラーは以前の地図を頼りにホームページを巡回しようとして迷子になります。

  • 内部リンクの寸断
    旧ホームページでは繋がっていた関連ページへのリンクがなくなると、クローラーはホームページの奥深くまで到達できなくなり、下層ページの評価更新が止まります。
  • ソフト404エラーの発生
    ページの内容が変わっている(あるいは存在しない)のに、サーバーが「正常(200 OK)」という信号を返すと、Googleは混乱し、ホームページ全体の品質評価を下げます。

3.アルゴリズムとのミスマッチ(検索意図のズレ)

リニューアル時に「コンテンツの整理・断捨離」を行うことは一般的ですが、これが仇となるケースが後を絶ちません。

Googleはページ内のテキスト情報を解析し、「このページはユーザーのどんな疑問に答えているか(検索意図)」を判断して順位を決めます。

デザインを優先してテキストを削ったり、専門的な解説を「スッキリさせる」ために削除したりすると、Googleは「このページは以前ほどユーザーの役に立たない」「専門性が低下した」と判断します。

その結果、特定のキーワードでの関連性スコアが低下し、これまで獲得していた上位表示ポジションを失うことになります。

第2章:致命的な失敗①「URL変更とリダイレクトの不備」

リニューアルにおけるSEO事故の原因として、最も頻度が高く、かつ被害が甚大であるのが「リダイレクト(転送設定)」の失敗です。

これは、デジタル上の「住所変更届」を出さないまま引っ越しをするようなものであり、顧客(ユーザー)と配送業者(Google)の両方を路頭に迷わせる行為です。

1.301リダイレクトの役割と不可欠性

ホームページのURLが変わる場合(例:old-site.com/page-anew-site.com/products/page-a)、旧URLから新URLへ、自動的にユーザーと検索エンジンを転送する設定が必要です。これを「301リダイレクト(恒久的な転送)」と呼びます。

301リダイレクトには2つの極めて重要な機能があります。

機能内容
ユーザー体験の保護ブックマークや他のホームページのリンクからアクセスした人を、エラー画面(404)ではなく新ページへ誘導する。
SEO評価の継承旧URLが持っていた「被リンクの評価(PageRank)」や「ドメインの信頼度」を、新URLへ引き渡すシグナルを送る。

Googleの公式見解でも、301リダイレクトは評価を引き継ぐための「強いシグナル」として機能すると明言されています。これを怠ることは、過去のSEO資産を自らドブに捨てることと同義です。

2.多くの人がやらかすリダイレクトの失敗パターン

パターンA:リダイレクトの完全欠如

「URLが変わったけど、しばらくすれば、新しいURLがまたGoogleに登録されるだろうから問題ない」という安易な考えでリダイレクトを行わないケースです。

これにより、外部のホームページからのリンクはすべて「リンク切れ」となり、そこから流入していた評価(リンクジュース)は完全に遮断されます。

結果、ドメイン全体の権威性が急落し、検索順位は回復不能なダメージを受けます。

パターンB:「トップページへ」の一括転送

「個別の転送設定が面倒だから」という理由で、旧ホームページの全ページを新ホームページの「トップページ」にリダイレクトしてしまう失敗です。

Googleはこれを「ソフト404(実質的なページ消滅)」として扱います。

なぜなら、ユーザーが「商品A」を探していたのに「トップページ」を見せられるのは、検索意図の不一致だからです。

リダイレクトは必ず「対になる内容のページ(1対1)」で行う必要があります。

パターンC:リダイレクトチェーンとループ

  • チェーン
    旧URL → 中間URL → 新URL のように、転送が複数回繰り返される状態。Googleは5回程度の転送で追跡を諦めることがあり、評価の減衰やクロールバジェット(巡回リソース)の浪費を招きます。
  • ループ
    A → B → A のように無限に転送し合う設定。ブラウザは「リダイレクトが多すぎます」とエラーを表示し、ページは完全に表示されなくなります。

パターンD:設定期間の誤認

「リダイレクトは一時的なもので良い」と考え、数週間で設定を解除してしまうケースです。

Googleがすべての旧URLを再クロールし、インデックスを新URLに入れ替えるまでには、ホームページの規模によっては数ヶ月かかることもあります。

Googleのジョン・ミューラー氏なども、リダイレクトは可能な限り(できれば永久に)維持することを推奨しています。

特に外部からのリンクが存在し続ける限り、リダイレクトを切ることは機会損失に繋がります。

第3章:致命的な失敗②「コンテンツの減少とデザイン優先の弊害」

「今風のホームページにしたい」「スマートフォンで見やすくしたい」という要望は、しばしば「テキストを減らして画像を大きくしたい」「余白をたっぷり取りたい」というデザイン要件に翻訳されます。

しかし、ここにSEOの大きな落とし穴があります。

1.「テキスト削除」=「キーワード削除」

検索エンジンは進化しましたが、依然としてテキスト情報を主要な判断材料としています。

旧ホームページで上位表示されていたページには、その順位を支えるだけの情報量とキーワードの網羅性があったはずです。

リニューアルでデザインを重視するあまり、以下のような変更を行うと順位は下がります。

  • 説明文の大幅カット
    サービスの詳細や技術的な解説を「長すぎる」として削除する。
  • お客様の声や事例の削減
    具体的な地名や固有名詞が含まれる貴重なコンテンツを減らす。
  • FAQの簡略化
    ユーザーの多様な検索クエリ(悩み)を拾っていたQ&Aを削除する。

例えば、「○○市 リフォーム 費用」で検索されるページから、具体的な費用の内訳や施工事例のテキストを削ってしまえば、Googleはそのページを「費用の情報を探しているユーザーにとって不十分」と判断し、順位を下げます。

情報の「密度」と「網羅性」が低下することは、SEOにおける敗北を意味します。

2.画像化によるテキストの不可視化

デザイン性を高めるために、キャッチコピーや重要なメッセージを画像の中に埋め込んでしまう(文字を画像として書き出す)手法です。

「美しいフォントを使いたいから」という理由で行われますが、Googleの画像認識技術が向上しているとはいえ、画像内の文字をHTMLテキストと同等の重みで評価する保証はありません。

特にH1タグなどの見出しを画像化し、かつalt属性(代替テキスト)を適切に設定していない場合、ページのテーマをGoogleに伝える最も強力なシグナルの一つを失うことになります。

アクセシビリティの観点からも推奨されず、音声読み上げソフトを利用するユーザーを排除することにも繋がります。

3.コンテンツの統合によるテーマの希薄化

「ページ数が多すぎるので整理したい」として、複数のページを1ページにまとめることがあります。

例えば、「キッチンリフォーム」「風呂リフォーム」「トイレリフォーム」という3つのページを、「水回りリフォーム」という1ページに統合する場合です。

これにより、個々のトピック(キッチン、風呂、トイレ)ごとの専門性が薄まり、それぞれのニッチなキーワードでの順位が低下するリスクがあります。

統合する場合は、統合先のページでそれぞれの要素を十分に網羅し、ボリュームを維持しなければなりません。

第4章:致命的な失敗③「UI/UXトレンドの副作用」

最新のウェブデザインのトレンドを取り入れることは、ブランディングやユーザー体験(UX)の向上に寄与しますが、実装方法を誤るとSEO(検索エンジンのクローラビリティ)を阻害する要因になります。

1.ハンバーガーメニューの落とし穴(パソコン表示)

スマートフォンでは標準的な「ハンバーガーメニュー(三本線のアイコン)」を、パソコン表示のデザインにも採用するケースが増えています。

しかし、パソコン表示において重要なナビゲーションリンクを初期状態で隠してしまうことは、以下のリスクを伴います。

  • クロールの優先度低下
    Googleは「ユーザーに見えていないコンテンツ(隠しコンテンツ)」の評価を割り引く傾向があります。主要なメニューリンクが隠されていると、ホームページ内の回遊性(リンクジュースの流れ)が悪くなり、下層ページの評価が上がりにくくなる可能性があります。
  • 発見性の低下
    ユーザーが一目でどんなコンテンツがあるかを把握できず、直帰率が高まる恐れがあります。パソコンユーザーは、画面上部にメニューが並んでいることを期待しています。

2.無限スクロール(Infinite Scroll)の未対応

商品一覧やブログ記事一覧で、ページ送り(ページネーション)の代わりに、スクロールすると次々とコンテンツが読み込まれる「無限スクロール」を採用する場合です。

JavaScriptで動的にコンテンツを表示するこの仕組みは、適切な設定を行わないと、Googleのクローラーが2ページ目以降のコンテンツを認識できない(スクロール動作をしないため)という致命的な欠点があります。

SEO対応の実装:
無限スクロールを採用する場合でも、裏側ではexample.com/page/2/のような個別のURLを持ち、pushState等で履歴を管理し、ページネーションのリンク(<a href="...">)もHTML内に存在させる必要があります。これがなければ、2ページ目以降にある商品は検索結果に現れなくなります。

3.JavaScript依存のコンテンツ表示とCore Web Vitals

ReactやVue.jsなどのモダンなフレームワークを使用したSPA(シングルページアプリケーション)や、過度なアニメーション演出で、ページの主要コンテンツをJavaScriptで後から描画するケースです。

GoogleはJavaScriptをレンダリング(実行)して内容を理解する能力を持っていますが、HTMLだけのページに比べて処理にリソースと時間がかかります。

インデックス登録が遅れたり、複雑すぎて正しく内容を読み取れなかったりするリスクが残ります。

重要なテキスト情報は、可能な限りサーバーサイドでレンダリング(SSR)し、初期HTMLに含まれるようにすべきです。

また、重いJavaScriptはページの読み込み速度(Core Web Vitals)を悪化させ、ランキング要因としてのマイナス評価を受ける可能性があります。

第5章:引き継ぎの失敗――開発者とマーケターの断絶

「多くの人がやらかしてしまう」失敗の背景には、技術的な知識不足だけでなく、プロジェクトに関わる人間同士のコミュニケーション不全があります。

制作会社(デザイナー・エンジニア)と、発注者(マーケティング・広報)の間で、SEOに関する要件定義が抜け落ちているのです。

1.「noindex」の解除忘れ

リニューアル作業中、テスト環境(ステージングサイト)がGoogleにインデックスされないように、robots.txtでブロックしたり、<meta name=”robots” content=”noindex”>(インデックス拒否)タグを入れることは正しい手順です。

しかし、本番公開時にこのタグを削除し忘れるという、信じられないような単純ミスが頻発しています。

これにより、新しいホームページはGoogleから「検索結果に出さないでください」と宣言している状態になり、数日後には検索結果から完全に消滅します。これは「人為的なミス」の中で最も致命的です。

2.タイトルタグ・メタディスクリプションの消失

CMS(WordPressなど)を入れ替える際、旧ホームページで丁寧に設定していた各ページのtitleタグやmeta descriptionタグのデータを移行せず、デフォルト設定のまま公開してしまうケースです。

例えば、「【公式】○○のリフォームなら株式会社△△|地域No.1の実績」という最適化されたタイトルが、「ホーム | 株式会社△△」のような簡素なものに置き換わってしまいます。これにより、クリック率(CTR)が低下し、検索順位も下がります。

3.XMLサイトマップの未更新

新しいホームページの構造に合わせてsitemap.xmlを更新し、Google Search Consoleに送信し直す必要があります。

これを怠ると、Googleは新しいページの存在になかなか気づけず、インデックスの更新が大幅に遅れます。

第6章:リニューアル後の「空白期間」――いつ順位は戻るのか?

リニューアル直後、どんなに完璧なSEO対策をしていても、一時的な順位変動やアクセス減少は起こり得ます。

これを「リニューアルのダウンタイム」や「フラックス(流動)」と呼びます。

1.反映までのタイムラグ:数週間から半年

新しいホームページの内容がGoogleに完全に反映され、評価が定着するまでには時間がかかります。

  • 小規模な変更(同じドメイン、同じURL構造)
    数日〜数週間で反映されることが多いです。
  • 中〜大規模な変更(URL変更、ドメイン変更含む)
    1ヶ月〜6ヶ月、場合によってはそれ以上かかることがあります。

Googleのジョン・ミューラー氏も、ホームページ移転に伴う順位変動は数ヶ月続く可能性があると示唆しています。

特に、旧ホームページのページ数が数千〜数万に及ぶ場合、すべてのページが再クロールされ、新旧の評価が入れ替わるまでには物理的な時間を要します。

2.一時的な順位低下(Googleダンス)

リニューアル直後は、Googleが新ホームページの評価を定めるために順位を乱高下させることがあります。

検索エンジンは、新しいページの構造やコンテンツの質をテストし、ユーザーの反応(クリック率や滞在時間)を見て適正な順位を探ります。この期間に「順位が落ちた!」と慌ててページを修正したり、元の状態に戻そうとすると、評価が定まらず逆効果になることがあります。

ただし、この変動が「正常なテスト期間」なのか「致命的なミスによる下落」なのかを見極めることが重要です。

3.危険な兆候:インデックス数の減少

Google Search Consoleの「カバレッジ(インデックス作成)」レポートを確認し、インデックスされているページ数が急激に減少していないかを監視する必要があります。

もしインデックス数が激減しているなら、それは「一時的な変動」ではなく、「設定ミスによる拒絶(noindexタグの消し忘れ、robots.txtによるブロック、大量の404エラー)」や低品質なページと見なされている可能性が高いです。

第7章:アクセス数・売上激減時の緊急対処マニュアル

リニューアル後に「アクセス数が半減した」「問い合わせが止まった」「売上が激減した」。そんな悪夢のような緊急事態に陥った場合、パニックにならず、論理的に原因を特定し対処する必要があります。

以下に、優先度の高い対処フローをまとめます。

Step 1: 生存確認(最初の48時間以内)

まず、「ホームページがGoogleに認識されているか」という最も基本的な生存確認を行います。

  1. site:ドメイン名で検索
    Google検索窓に site:renoovodesign.ltd のように入力し、新しいページが表示されるか確認します。表示されなければ、ホームページ全体がブロックされている可能性があります。
  2. robots.txtとソースコードの確認
    開発環境の設定(Disallow: /noindex)が本番環境に残っていないか確認します。これが見つかれば、即座に削除することで数日中に回復する可能性があります。

Step 2: リダイレクトの検証(1週間以内)

旧ホームページでアクセスを稼いでいた主要なページ(ランディングページ)のURLリストを作成し、それらにアクセスしたときに、新ホームページの正しい対応ページへ301リダイレクトされるかを確認します。

  • エラー(404)になっていないか?
  • 関係ないページやトップページに飛ばされていないか?(ソフト404)
  • リダイレクトチェーンが起きていないか?

問題があれば、即座にサーバー設定(.htaccessなど)やリダイレクトのプラグインの設定を修正し、正しいリダイレクトルールを適用します。

Screaming Frogなどのクローリングツールを使用すると、ホームページ全体のリダイレクト状況を一括でチェックできます。

Step 3: Google Search Consoleでの解析(2週間〜1ヶ月)

「検索パフォーマンス」レポートを見て、「どのクエリ(キーワード)」と「どのページ」でクリック数が減ったのかを特定します。

現象推定原因対処法
特定ページのみ下落コンテンツの削除、質の低下、検索意図のズレ旧コンテンツの復活、リライト、テキスト量の増加
ホームページ全体が下落ドメイン移転の失敗、技術的エラー、ペナルティ301リダイレクト再確認、noindex確認、被リンク否認ファイルの確認
インデックス数激減クロールエラー、誤ったcanonical設定、低品質コンテンツ(自動的に生成する商品ページなど)カバレッジレポートのエラー修正、XMLサイトマップ送信、コンテンツの品質見直し

Step 4: コンテンツの修復と強化(1ヶ月〜3ヶ月)

順位が落ちたページのコンテンツを修正します。

  • 削除してしまったテキスト(専門的な解説、事例、お客様の声など)を再掲載する。
  • titleタグやdescriptionタグが、旧ホームページの最適化されたものから変わっていないか確認し、キーワードを含んだ魅力的なものに修正する。
  • 内部リンクを増やし、クローラーが重要ページを見つけやすくする。
  • 新しいページに向けた被リンク獲得(サイテーション)を増やす活動を行う。

最後の手段:ロールバック(切り戻し)

リニューアルによる損害が経営を揺るがすほど深刻で、かつ原因が技術的な修正で解決できない場合(例:CMSの構造的欠陥、ホームページの構造そのものの失敗)、一旦「旧ホームページに戻す(ロールバック)」という判断も必要になります。

ただし、これは再度の混乱を招くため、あくまで最終手段です。

通常は、新しいホームページ上で問題を修正していく「前進的復旧」を目指します。ロールバックを行う場合は、DNS設定やデータベースの整合性に十分注意する必要があります。

第8章:失敗しないリニューアルのためのSEOチェックリスト

これからリニューアルを行う、あるいは失敗を修正するために、以下の項目を必ずチェックしてください。

このリストは、リニューアルプロジェクトの開始前から完了後まで、常に手元に置いておくべき羅針盤です。

フェーズカテゴリチェック項目重要度
企画・設計現状分析現行ホームページの全URLリストを作成したか(Sitemap、クローリングツール使用)★★★
現行ホームページでアクセス・売上を獲得している「資産ページ」を特定したか★★★
現行ホームページの各ページのtitleh1meta descriptionをバックアップしたか★★☆
UI/UXハンバーガーメニュー等の隠しナビゲーションがSEOに悪影響を与えない設計か★★☆
無限スクロールを採用する場合、ページネーション対応がされているか★★☆
制作・開発リダイレクト全旧URLと新URLの対照表(リダイレクトマップ)を作成したか★★★
301リダイレクト(恒久転送)を使用する設定になっているか★★★
リダイレクト先はトップページではなく、関連する個別ページになっているか★★★
コンテンツ重要なページのテキスト量は減っていないか、キーワードは維持されているか★★★
文字は画像化されていないか、画像化された場合はalt属性が設定されているか★★☆
内部リンクの構造は論理的か(孤立ページがないか)★★☆
公開直前技術要件robots.txtnoindexタグが解除されているか★★★
XMLサイトマップは新URLで生成されているか★★☆
モバイルフレンドリー(レスポンシブ)対応は万全か★★☆
ページの表示速度は旧ホームページより遅くなっていないか(Core Web Vitals)★★☆
公開後移行・計測Google Search Consoleで「アドレス変更」を通知したか(ドメイン変更時)★★★
公開後、Google Search Consoleへ新サイトマップを送信したか★★★
Googleアナリティクス等の計測タグは正しく設置されているか★★★
404エラーの発生状況をモニタリングしているか★★☆

結論:SEOは「デザイン」の一部である

ホームページリニューアルにおけるSEOの失敗は、単なる「設定ミス」ではありません。それは、長年積み上げてきた企業の「信頼」という資産を、不注意によって焼却してしまう行為です。

どれほど美しいデザインも、誰にも見られなければ存在しないのと同じです。

リニューアルプロジェクトにおいて、SEOは「後付けのオプション」ではなく、設計段階から組み込まれるべき「骨格」です。

「もっとアクセス数を増やしたい」「もっと問い合わせを増やしたい」「売り上げを伸ばしたい」。

そう願ってスタートしたホームページのリニューアルプロジェクトが、逆に企業の成長を止めてしまう悲劇は、正しい知識と準備があれば防ぐことができます。

また、もし今、リニューアル後の急落に苦しんでいるとしても、論理的な手順で対処すれば、失われた評価を取り戻すことは可能です。

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