「ただの模様替え」で終わらせない、事業成長のためのWeb戦略ガイド
ひと昔前まで、ホームページは「インターネット上の名刺」や「会社の顔」と言われることが多かったですね。「とりあえず存在していればOK」「会社概要や商品が載っていれば十分」という時代もありました。
でも、現在のホームページは、売上を作ったり、優秀な人材を採用したりする「ビジネスの心臓部」へと進化しているのです。
この記事では、ホームページリニューアルを成功させるために絶対に欠かせない「目的」と「目標」の考え方について、失敗事例や具体的なデータを交えながら、詳しくお話ししていきます。
なぜやるのか(目的)、何を達成するのか(目標)。ここを徹底的に掘り下げることが、失敗しないリニューアルのための第一歩です。
1.リニューアルの「目的」を整理しよう
ホームページリニューアルの目的は、大きく分けて4つあります。みなさんの会社や事業のホームページのリニューアルはどれに当てはまるでしょうか?
① 守りの目的:セキュリティと「老朽化」対策
ホームページも家と同じで、時間が経てば老朽化します。特にソフトウェアの部分は「腐敗」しやすいのです。
- サイバー攻撃への備え
実は、世界中で毎日30,000件以上のホームページがハッキング被害に遭っていると言われています。古いシステム(CMS)や更新されていないプラグインを放置するのは、玄関の鍵を開けっ放しにしているようなもの。お客様の情報を守るためにも、セキュリティ強化は経営課題そのものです。 - 表示速度の改善
スマホでホームページを開いたとき、なかなか表示されなくてイライラしたことはありませんか? Googleのデータでは、読み込みに3秒以上かかると、53%の人が「もういいや」と離脱してしまうそうです。リニューアルでシステムを最新にしてサクサク動くようにすることは、機会損失を防ぐ「守り」の要です。
② 攻めの目的:マーケティングと集客力アップ
「せっかく良い商品やサービスがあるのに、知られていない」。この悩みを解決するのが「攻め」のリニューアルです。
- SEO(検索エンジン最適化)の構造改革
数年前に作ったホームページは、現在のGoogleのルール(評価基準)に合っていないことが多いです。検索ロボットが読みやすい構造に作り変えることで、「自然検索」からの流入を増やし、広告費に頼らない集客チャネルを作ることができます。 - 情報発信基地にする
今の時代、BtoCの商品やサービスでも、BtoBの商品やサービスでも、見込み客は問い合わせる前にホームページ上のコンテンツを読んで情報収集します。ブログや事例紹介、BtoBならホワイトペーパーなどを社内で簡単に更新できる仕組み(CMS)を導入すれば、見込み顧客を育てるスピードが格段に上がります。
③ 資産価値の目的:ブランディングと信頼性
ホームページは24時間365日、文句も言わずに働いてくれる営業マンであり、広報担当です。
- 「信頼できる会社や事業者」に見えるか
人は信用・信頼した相手から商品やサービスを購入します。信頼できる会社や事業者だと思ってもらえるように、「信頼」に繋がる情報をしっかりとホームページ上に掲載しておくことが大事です。
また、デザインが崩れていたり、スマホに対応していなかったりすると、お客様は無意識に「ここは管理が行き届いていないな」「技術力が古いのかな」と不安を感じてしまいます。デザインを現代風に整えることも、会社や事業者の「信頼」を獲得するために不可欠です。 - 採用ブランディング(人材獲得)
今、日本は深刻な人手不足です。求職者は、求人媒体を見たあとに必ず企業のホームページをチェックします。そこで「ワクワクしない」「どんな会社か分からない」と思われたら応募してくれません。採用コストを下げて、良い人材に来てもらうためにも、魅力的な採用サイトは必須です。
④ 組織的目的:業務効率化
リニューアルは、社内の働き方改革にもつながります。
- 顧客対応コストを下げる
「よくある質問」や「チャットボット」を充実させることで、電話やメールでの単純な問い合わせを減らせます。サポート部門の負担が減れば、スタッフはもっと付加価値の高い仕事に集中できます。 - 営業活動のアシスト
商品カタログやデモ動画、スペック表などをホームページ上に整備しておけば、営業担当者はタブレット一つでスムーズに商談ができます。「優秀な営業アシスタント」としての機能を持たせるのも、立派なリニューアルの目的です。
2.「目標(Goal)」を数字で決めよう(KPI設定)
目的が決まったら、次はそれを「数字」に落とし込みます。
「売上アップ」のような漠然とした目標ではなく、「SMARTの法則」(具体的で、測定可能で、達成可能で、関連性があり、期限がある目標)を意識しましょう。
ここでは、業界のベンチマーク(平均値)を参考に、目指すべき数字の目安をご紹介します。
目標指標その1:コンバージョン率(CVR)
ホームページに来た人のうち、何人が「問い合わせ」や「資料請求」をしてくれたかという割合です。
【業界別 平均CVRの目安(2024-2025年版)】
| 業界カテゴリー | 平均CVR | 解説 |
| BtoB Eコマース | 3.5% – 4.1% | リピート注文も含まれるため比較的高めです。 |
| BtoB サービス | 1.6% – 2.2% | じっくり検討される商材なので、少し低くなります。 |
| IT・SaaS | 1.1% – 1.7% | 競争が激しく、情報収集中のお客様が多い分野です。 |
| コンサル・士業 | 4.0% – 7.0% | 「今すぐ相談したい」というニーズが高いため高めです。 |
| 製造業 | 3.3% – 4.7% | 具体的なスペックを探している人が多い傾向があります。 |
| 不動産 | 1.5% – 2.8% | 金額が大きいので即決はされにくい分野です。 |
もし、御社のBtoBサイトのCVRが1%を切っているなら、それは非常にもったいない状態です。
リニューアルでは、まず業界平均の1.5倍〜2倍を目指して、ボタンの配置や入力フォームの改善を行いましょう。
目標指標その2:直帰率(Bounce Rate)
「1ページだけ見て帰ってしまった人」の割合です。低いほうが良いと言われますが、Webサイト(ホームページ)のタイプによって「正解」は違います。
- Eコマース・小売り
20% – 45%(商品を見てすぐカートに入れてほしいので、低いのが理想) - BtoB 企業サイト
35% – 55%(会社概要だけ見て帰る人もいるので、50%以下なら優秀) - ブログ・メディア
65% – 90%(記事を読んで満足して帰る人が多いので、高くてもOK)
もし、コーポレートサイト、サービスサイトのトップページで直帰率が70%を超えていたら、「何の会社か伝わっていない」何のサービスか伝わっていない」可能性大です。キャッチコピーやメニュー構成の早急な見直しが必要です。
3.失敗の解剖学:なぜリニューアルは失敗するのか?
実は、リニューアルプロジェクトの失敗率は意外と高いんです。
ここでは、私たちが実際に目撃してきた「失敗事例」と、そこから学べる教訓を包み隠さずお話しします。
【事例1】消された「500の資産」とV字回復の物語
ある教育関連の企業様のお話です。「ホームページをおしゃれにしたい!」という一心でリニューアルを行いました。
- 悲劇
リニューアル直後、アクセス数が以前の3分の1に激減。コンスタントにあった問い合わせがパタッと止まってしまいました。 - 原因
前の制作会社さんが、デザインの統一感を優先して、過去数年間に書き溜めた500ページ以上のブログ記事を「古いから」と削除してしまったのです。実はこのブログこそが、検索エンジンから人を集め、信頼を稼いでいた「見えざる大黒柱」でした。 - 教訓
リニューアルは「破壊」であってはなりません。今ある資産(コンテンツ)をしっかり調査せずに捨ててしまうのは、自分のお財布を捨てるのと同じこと。私たちはこの後、バックアップから記事を復旧させ、見事にV字回復させることができました。
【事例2】「問い合わせは増えたけど、儲からない…」
次は、あるB2Bサービス企業様のケースです。SEOに強い会社に頼んでリニューアルしました。
- 悲劇
確かにアクセスも問い合わせも増えました。でも、営業部は疲弊するばかり。なぜなら、来る問い合わせのほとんどが「相見積もり」や「情報収集だけ」の、成約につながらないものばかりだったからです。 - 原因
「数」だけを目標にして、「質」を無視した結果です。誰に何を伝えるかというターゲティングが甘く、ただ人を集めやすいキーワードで集客してしまったため、自社の強みにマッチしないお客様ばかり来てしまったのです。 - 教訓
「問い合わせ数」はあくまで通過点。最終的な「利益」や「成約」につながらなければ、対応コストが増えるだけです。
【事例3】ドメイン変更の悪夢(SEOマイグレーションの失敗)
技術的な失敗で怖いのがこれです。ホームページのURL(ドメイン)や主要なページのURLを変更した際に、適切な転送設定(301リダイレクト)をしないと、Googleからの評価がリセットされてしまいます。
有名なEコマース基盤の「WooCommerce」でさえ、ドメイン変更時のミスでトラフィックが激減した事例があるほど。大企業でも起こりうるミスなので、プロによる慎重な設計が必要です。
4.成功への道筋:リヌーボデザイン流「Web再生」
失敗を避けて、確実に成果を出すために。
リヌーボデザインでは「Web再生」というアプローチを大切にしています。
- Re:Value(価値の再定義と継承)
今あるホームページの中に、必ず「お宝」が眠っています。アクセスが多いページ、信頼されているコンテンツを見つけ出し、捨てずに磨き上げます。ドメインパワーもしっかり新しいホームページに引き継ぎます。 - Re:Design(行動を喚起するデザイン)
ただ美しいだけでなく、「機能するデザイン」を作ります。心理学に基づいたボタン配置や、スマホでも迷わない使いやすさを追求し、お客様が自然と問い合わせたくなる導線を作ります。 - Re:Build(強くしなやかな基盤)
セキュリティに強く、表示が速い。そして、社内のスタッフが簡単に更新できるシステム(CMS)を構築します。将来の拡張性も見越した、長く使える土台作りです。
5.リニューアルへの投資は「コスト」か「投資」か?
ホームページリニューアルには、どうしても費用がかかります。でも、これを「コスト(出費)」と見るか、「投資」と見るかで結果は変わります。
もしリニューアルをしなかったら……
- 機会損失
検索順位が下がって見込み客を逃し続ける。 - 採用コスト
人が採れなくて、高額な紹介手数料を払い続ける。 - 信用リスク
セキュリティ事故で社会的信用を失う。
逆に、300万円かけてリニューアルしたとしても……
- 月間の問い合わせが倍になり、売上が月500万円増えれば、1ヶ月で元が取れます。
- 電話対応が減って人件費が浮けば、それも利益になります。
適切な目的と目標を持って作られたホームページは、24時間365日文句も言わずに利益を生み出し続ける、御社にとって最強の資産になるのです。
まとめ:あなたのホームページは「資産」ですか?「負債」ですか?
ホームページリニューアルは、単なるデザイン変更ではありません。企業の未来を作る経営戦略そのものです。
ここまで読んで、「うちのホームページ、まさに課題だらけだ…」「何から手をつければいいか分からない」「以前のリニューアルで失敗した経験があって怖い」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
自己診断には限界があります
まずは、成功と失敗の数々を見てきたリニューアルのプロフェッショナルに、現状を見てもらうことから始めませんか?
リヌーボデザインでは、Web再生の専門家による「サイト診断セッション」を行っています。
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このセッションで得られるもの
✅ 現状の見える化
プロの視点で、あなたのホームページの「見えないブレーキ」を発見します。
✅ 失敗リスクの回避
過去の事例をもとに、陥りやすい罠と対策をお伝えします。
✅ 具体的なアクション
明日から何をするべきか、手順がクリアになります。
まずは「何のためにリニューアルをやるのか」を一緒に明確にしましょう。


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